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2023.05.23

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「みなし残業」とは?損をしないために知っておきたいこと

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みなし残業は、労働基準法で認められた制度で多くの企業で導入されています。しかし、理解が不足して制度を誤解している、意図してルールを守らない企業も存在します。

転職活動を行う際には、入社してから損をしたと後悔しないように、みなし残業の制度について内容をしっかりと把握することが大切です。

みなし残業とは?

転職活動を行っている方の中には、企業の募集要項や求人票の基本給の欄に「みなし残業」と記載されているのを見たことがある人がいると思います。ところで「みなし残業」とは、どのような意味なのでしょうか。

みなし残業の意味

「みなし残業」とは、実際の残業時間に関係なく、一定時間分の残業代があらかじめ毎月の給与に含まれて支給される制度です。

従業員の立場から見ると、残業をしなくても固定で残業代が支払われるため得であるイメージを持つかもしれませんが、「みなし残業」にはメリットもデメリットもあるため、内容を十分に理解しておくことが大切です。メリットとデメリットについては、次の章で詳しく解説します。

みなし残業の種類

みなし残業には、大きく分けて「みなし残業代制(固定残業代制)」と「みなし労働時間制」の2つがあります。

●みなし残業代制(固定残業代制)
みなし残業代制(固定残業代制)とは、一定の残業が発生することを想定して、残業代を固定で給与に含めて支給する制度です。

募集要項や求人票には、以下のように記載されます。
1.月給:月給25万円以上
2.上記には固定残業代5万円/30時間相当を含む
3.30時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給する

●みなし労働時間制
みなし労働時間制は、法律で定められた要件を満たす場合に、一定時間労働したとみなす制度です。労働基準法では、「事業場外労働のみなし労働時間制」「専門業務型裁量労働制」「企画業務型裁量労働制」の3つが認められています。

みなし残業代(固定残業代制)の適用には職種の制限がありませんが、みなし労務時間制は、次の職種や業務に限定して適用されます。

事業場外労働のみなし労働時間制:営業職など会社の外で仕事をすることが多く、実際の労働時間が把握しづらい職種

専門業務型裁量労働制:新聞記者やコピーライター、新製品や新技術の研究開発、システムエンジニアなど専門性が高い職種

企画業務型裁量労働制:企業の経営に関して企画や立案、調査といった業務を行う職種

以上のようにみなし残業には、「みなし残業代制(固定残業代制)」と「みなし労働時間制」がありますが、以降については職種の制限がない「みなし残業代制(固定残業代制)」について解説します。

みなし残業のメリット

みなし残業代制(固定残業代制)には、企業側と従業員側それぞれにメリットとデメリットの両方があります。ここでは従業員にとってもメリットについて紹介します。

残業が少ない月でも固定で残業代が受け取れる

繁忙期と閑散期の差が大きな仕事で働いている場合、月によって残業時間が変動するため収入が安定しません。しかし、みなし残業代制(固定残業代制)では、残業が少なかった月でも、固定残業代を含めて給与を受け取ることができ、安定した収入が見込めます。

ワークライフバランスの実現

みなし残業代制(固定残業代制)では、規定された残業時間の範囲であれば、残業代は固定されていて変わらないため、残業を少なくした方が従業員にとってが得になります。

その意識が定着すると、業務を効率化して残業時間を少なくしようと考える従業員が増えてきます。残業時間を減らすことができれば、その分プライベートな時間が増えてワークライフバランスの実現が可能となります。

超過して残業した分は残業代が受け取れる

みなし残業代制(固定残業代制)は、残業代を支給しないため制度ではありません。みなし残業代制(固定残業代制)では、あらかじめ規定された残業時間を超えて働いた場合、超過した時間外労働分については、追加で支給されます。

そのため、残業が固定残業時間を超えて月でも、みなし残業代制(固定残業代制)によって残業代が減ることはなく、追加で残業した分の残業代を受け取ることができます。

みなし残業のデメリット

上記のように、みなし残業代制(固定残業代制)は従業員にとって、多くのメリットがありますが、デメリットもあるため注意が必要です。

基本給が低く抑えられることがある

みなし残業代制(固定残業代制)を導入している企業の中には、固定の残業代を給与に上乗せすることで、待遇をよく見せたいという意図を持っているケースがあります。

具体的には、求人票に「基本給25万円」とするより、「月給25万円(固定残業代5万円含む)」と記載したほうが、給与が多い印象を与えます。

求人票に、固定残業代を除いた基本給と固定残業代の金額や時間を明示していれば、違法な表示ではありません。しかし、好待遇だと思って求職者が応募したら、基本給が低かったということもあるので、注意しましょう。

みなし残業分の残業を強要される

みなし残業代制(固定残業代制)は、残業代が支払われている分の時間は、残業しなければならないという制度ではありません。もちろん必要がある時には、残業をしなければなりませんが、必要が無いのに決められた時間まで会社にいなければならないわけではありません。

しかし、経営層や管理職がみなし残業代制(固定残業代制)の内容について対して十分に理解していない場合、「固定で残業代を支給しているのだからと、一定時間の残業をすることが義務」であるかのように、残業を強要される可能性があります。

追加の残業代が支払われない

先ほども説明しましたが、みなし残業代制(固定残業代制)でも、あらかじめ規定された残業時間を超えて働いた場合には、超過した時間外労働分について追加で支給されます。

しかし、ブラック企業と言われるような会社では、いくら残業しても固定残業分しか支給されないケースがあるようです。

求人票のここに注目!

興味のある企業がみなし残業代制(固定残業代制)で求人募集している場合、次の点を求人票でチェックしましょう。

基本給や固定残業代の金額と時間が記載されているか

失業保険の手続きに必要な書類は次の通りです。

厚生労働省は、企業や民間の職業紹介事業者に対して、みなし残業代(固定残業代)を適用した求人の際には、求人票や募集要項に次の内容を全て明示するように求めています。

①固定残業代を除いた基本給の額
②固定残業代に関する労働時間と金額の計算方法
③固定残業時間を超える時間外労働や休日労働、深夜労働に対しては割増賃金を追加で支払うという説明

参考:厚生労働省「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。」

この中でも、特に基本給と固定残業代、残業時間についてきちんと記載されているか確認しましょう。基本給と固定残業代を併せた金額のみを記載している場合には、基本給が低く抑えられている可能性があります。

基本給が低い場合には、賞与(ボーナス)も低くなる可能性があります。一般的に賞与(ボーナス)は基本給の何ヵ月分といった計算で支給されます。

固定残業時間を超えた場合、追加で残業代が支払われるか

みなし残業代制(固定残業代制)でも、固定残業時間を超えた場合には、超過した時間外労働分について追加で支給されます。

先ほども書いた通り、求人票や募集要項には、固定残業時間を超える時間外労働や休日労働、深夜労働に対しては割増賃金を追加で支払うという説明を明示しなければなりません。

固定残業代の時間が長すぎないか

みなし残業代制(固定残業代制)の残業時間の上限は、明確に法律で定められてはいません。しかし、一般的には36協定の上限である月45時間以内が妥当と言えます。

もし、固定残業代が基本給に対して非常に多い場合には、長時間労働を前提としたみなし残業が設定されている可能性があります。

基本給が最低賃金を下回っていないか

固定残業代が高く基本給が非常に低い場合、最低賃金を下回っている可能性があります。固定残業代を除いた基本給の額は、最低賃金以上でなければなりません。下回っている場合には、最低賃金法違反となります。

最低賃金の金額は都道府県によって異なるため、厚生労働省のホームページや地域のハローワークで確認しましょう。

参考:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」

まとめ

みなし残業代制(固定残業代制)は、実際に残業時間に関わらず固定残業代を受け取れるため、収入が安定するなどのメリットがあります。一方で制度の内容を理解していなければ、損をしてしまうかもしれません。求人票や募集要項をチェックする際には、本記事で紹介したポイントをしっかりと確認しましょう。

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