人事/経営

2021.12.21

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優秀人材の確保に「効く」福利厚生まとめ

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少子高齢化による労働人口の減少により、新規人材の採用や社員の定着率アップが、どの企業においても大きな経営課題となっています。そのような状況の中で、注目されているのが福利厚生の充実です。この記事では、福利厚生の種類やメリット、そしてユニークな福利厚生を導入している企業の事例を紹介します。

そもそも「福利厚生」とは?

「福利厚生」とは、企業から従業員やその家族に対して提供する、給与や賞与以外の報酬のことを指します。福利厚生は、法律によって定められている「法定福利厚生」と企業が独自に設定している「法定外福利厚生」の2つに分けられます。

法定外福利厚生は、正社員だけでなく要件を満たしていればパートやアルバイトなどの短時間労働者も対象となります。一方で法定外福利厚生はこれまで、正社員やその家族のみを対象としている企業が多くありました。
しかし、2020年4月に「パートタイム・有期雇用労働法」が施行されて、どのような雇用形態を選択しても納得して働き続けられるように、雇用形態の違いによる不合理な待遇の格差の解消が企業に義務づけられました。これにより現在では、給与や賞与だけでなく法定外福利厚生においても、正社員とパートタイムや有期雇用労働者との間に、不合理な待遇差が生じないような配慮がされています。

福利厚生の種類について具体的に解説

「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」に分けられる福利厚生、それぞれの種類について具体的に解説いたします。

法定福利厚生

法定福利厚生は、企業が費用の全部または一部を負担して従業員に提供しなければならないと法律で定められているものです。雇用保険、健康保険、介護保険、厚生年金保険、労災保険と、子ども・子育て拠出金が該当します。

雇用保険(失業保険):労働者が失業、休業した場合に手当が給付される制度で、失業等給付や育児休業給付があります。他に失業予防などの労働者の福祉を増進するための事業に使われます。

健康保険:従業員やその家族が、病気やケガ、またそれによる休業、死亡や出産などに備える国の医療保険制度です。

介護保険:介護が必要な方に費用を給付して、適切なサービスが受けられるようにサポートする保険制度です。

厚生年金保険:受給資格期間を満たせば、国民年金の受給額に上乗せする形で年金を受け取ることができる年金の2階部分に相当する制度です。

労災保険:仕事中や通勤に従業員が負傷・疾病・障害または死亡した際に、従業員やその遺族のために必要な保険給付を行う制度です。

子ども・子育て拠出金:子育て支援のために充てられる税金で、企業が全額を負担します。以前は児童手当拠出金という名称でした。

法定外福利厚生

法定外福利厚生は、法律に関係なく企業が独自に設けている福利厚生のことです。法定外福利厚生の種類は非常に多く、どの福利厚生を導入するかは企業の自由です。法定外福利厚生の主な種類には、次のようなものがあります。

住宅関連:住宅手当の支給(家賃補助)、住宅ローソ補助、社宅、寮、借上げ社宅制度など。

健康、医療:健康診断費用補助、人間ドック、スポーツ施設利用料補助、カウンセラーの設置など

慶弔、災害:結婚祝い金、出産祝い金、従業員や家族の死亡時弔慰金、災害見舞金など

育児、介護:法定以上の育児介護休業、短時間勤務制度、男性従業員への育児休暇充実、託児施設や保育施設の設置など

自己啓発、能力開発:資格取得支援、受験料補助、通信教育やeラーニングの提供や補助、図書購入費補助など

職場環境:在宅勤務制度、テレワーク導入、オフィス内のカフェ設置など

休暇:リフレッシュ休暇、法定日数以上の有給休暇、アニバーサリー休暇など

レクリエーション:スポーツ活動や文化サークル活動への補助、社員旅行、宿泊施設や運動施設の割引など

財産形成:確定拠出型年金制度、財形貯蓄制度、従業員持ち株制度、ストックオプション制度など

その他:食事補助など

なぜ福利厚生は大切なのか?

福利厚生を充実させることは、従業員やその家族だけでなく企業にも大きなメリットがあります。この章では福利厚生を充実させるメリットを5つあげて、なぜ大切なのか解説します。

①優秀な人材の確保
就職活動や転職活動では、給与や賞与だけでなくそれ以外の待遇や制度に注目して応募企業を選ぶ方がほとんどです。福利厚生が充実しているかどうかは、募集時の応募者の人数に影響します。法定外福利厚生が充実している企業は、法定外福利厚生がない企業と比べると優秀な人材が集まりやすいといったメリットがあります。

②社員の定着率向上
法定外福利厚生を充実させて働きやすい環境を提供することで、ワークライフバランスの実現が可能となります。働きやすい職場環境を整えることで、従業員の満足度が高まることで従業員の定着率向上が期待できます。

③生産性の向上
従業員の身体や心の不調は、本人だけでなく組織全体の生産性を低下させます。そのため、福利厚生の充実によって、従業員が心身ともに健康で働ける環境を整えることは、生産性の向上につながるというメリットがあります。

④企業のイメージアップ
福利厚生が充実している企業は、経営基盤が安定しているといえるでしょう。また、従業員の健康の維持や向上、人材育成に積極的に取り組みことは、従業員を大切にしている企業として社会的なイメージアップにつながります。

⑤節税効果
法定外福利厚生の費用の中には、一定の条件を満たすことで非課税の対象となるものもあります。福利厚生費として計上することで法人税の節税効果があります。福利厚生費の対象となるには、「従業員全体が対象となっていること」「就業規則など規程があること」「支出した金額が社会通念上妥当である」ことが必要です。

最近のトレンドやユニークな事例

企業によっては、他社との差別化のためにユニークな福利厚生を導入しているところがあります。最近のトレンドやユニークな福利厚生の事例を紹介します。

福利厚生の最近のトレンド

前章でご紹介した通り、福利厚生を充実させることは企業にとってさまざまなメリットがあります。一方で、「費用負担が大きい」「管理が煩雑になる」「全ての従業員のニーズに応えるのは難しい」などのデメリットもあります。そのデメリットを解消できるのが、福利厚生代行サービスです。福利厚生代行サービスの代表的なプランとしては、パッケージプランとカフェテリアプランがあります。

パッケージプランは、さまざまな福利厚生のサービスがパッケージとなっていて、企業は自社のニーズにあうコースを選んで契約します。従業員はコースの中にある福利厚生から利用したいものを選ぶ仕組みです。

カフェテリアプランは、企業が独自に福利厚生サービスをパッケージにして従業員に提供するものです。カフェテリアプランの導入や運用も福利厚生代行サービスの会社に依頼することができます。

代表的な福利厚生代行サービスには、次のようなものがあります。
・株式会社リロクラブ https://www.reloclub.jp/
・JTBベネフィット https://company.jtb-benefit.co.jp/
・ベネフィットワン https://pr.benefit-one.co.jp/bs/

ユニークな福利厚生の事例

■おひるねスペース「GMO Siesta」(GMOインターネットグループ)
GMOインターネットグループでは、スタッフが頭をクリアにして、クリエイティブな発想を生み出す助けとなるように昼寝を推奨しています。おひるねスペース「GMO Siesta」には、昼寝用ベッドが30台設置され、アイマスクや耳栓も用意されています。

■社員用キッチン(クックパッド株式会社)
オフィスに社員用のキッチンがあり、食材はまかないとして会社が用意して自由に使うことができます。ランチタイムにはたくさんの社員が集まりコミュニケーションを深める場となっています。

■親孝行支援制度(大和ハウス工業)
遠方に介護が必要な親を持つ社員に、年4回を上限に帰省費用の補助(1.5~5.5万円/回)を行っています。また同社は、法律が定める介護休業制度の93日を無制限にしています。

まとめ

福利厚生を新たに導入する際には、費用負担が大きいことや全ての従業員を満足させるのが難しいといった課題があります。しかし、福利厚生を充実させることで、優秀な人材を確保できるだけでなく、生産性の向上や企業のイメージアップなどさまざまなメリットが期待できます。福利厚生代行サービスの利用なども含めて、現在の自社の福利厚生制度を見直してみてはいかがでしょうか。

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